衛星通信サービスの活況(2023/9/8)

宇宙業界に関心のあるビジネスパーソン向けに、1週間で起きた宇宙ビジネスのニュースや宇宙ベンチャーの資金調達情報、イベント情報を発信しています。
・注目の宇宙ビジネスニュース
・資金調達・M&Aニュース
・イベント情報
・Orbitsからのお知らせ
・編集後記
Orbits編集部 2023.09.08
誰でも

おはようございます。

先週ニュースレターを配信できなかったため、先週と今週の宇宙ビジネスのニュースから重要そうなものをピックアップして今回もまとめております。

GITAIや将来宇宙輸送システムなど日本企業の資金調達ニュースが目立っており、今後の海外展開やロボット・ロケット開発の行先がとても楽しみです。

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📰注目の宇宙ビジネスニュース

  • 独自の衛星通信用の低軌道衛星を保有するGlobalstarが、Apple対応の通信衛星打ち上げについてSpaceXと契約を締結したことを発表しました。現在Globalstarの緊急衛星通信サービスが利用できるのはiPhone14のみですが、今後は普通の音声通話などでも衛星を介して行われる可能性が大いにあります。

  • 小型ロケット開発を行うFirefly Aerospaceと小型衛星開発を行うMillenium Space Systemsが、米宇宙軍の衛星を命令から24時間以内に打ち上げるミッション「Victus Nox」の準備が完了できたことを発表しました。今後6ヶ月以内に軍から打ち上げの命令が降りる可能性がありますが、まだ具体的な日程は決まっていません。

  • Amazonの株主がジェフ・ベゾスとイーロン・マスクのライバル関係を理由に、SpaceXがAmazonの低軌道通信衛星サービスProject Kuiperの打ち上げを断ったとデラウェア州衡平裁判所に訴えました。というものの、昨年Amazonは史上最大の民間ロケットの取引と言われる契約を発表しており、ULAやAriane Space、BlueOriginに対して2028年までに計74億ドルを支払うことを発表しています。

  • Amazonの通信衛星サービスProject Kuiperが多国籍携帯電話を提供するVodafoneと提携し、ヨーロッパとアフリカでVodafoneの顧客向けに4G/5Gサービスを提供することを発表しました。光ファイバーの工事費をかけずにネットの届かない地域に高速ブロードバンドを提供する予定で、南アフリカやタンザニアなど計5億人の人々へインターネットが届けられます。Amazonの衛星が稼働開始時点でこのサービスも提供される予定で、VodafoneとAmazonが協力して試作衛星でβテストを実施します。

  • 中国のロケットメーカーGalactic Energyが、海上打ち上げプラットフォームからIoT用低軌道通信衛星「天啓星座」4機を搭載した固体ロケットCeres-1の打ち上げに成功し、9回連続で打ち上げに成功しました。Ceres-1は全長20mで、LEOへは400kg、SSOには300kgのペイロードを打ち上げることが可能で、今回初めて高度800kmまで打ち上げることが出来ました。

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💰資金調達・M&Aニュース

  • 宇宙用汎用ロボットを開発するGITAIが、シリーズBエクステンションラウンドでGreen Co-Invest InvestmentやPacific Bays Capital、三井住友海上キャピタルから1,500万ドルの資金調達を実施しました。今回の調達資金は、米国での事業拡大と月面実証に係る費用の一部に充てられます。

  • 宇宙往還を可能とする輸送システムを開発する将来宇宙輸送システム株式会社が、既存投資家であるインキュベイトファンドをリード投資家として、アニマルスピリッツ1号ファンド、電通ベンチャーズSGPファンド、その他の投資家か総額5.5億円の資金調達を実施しました。既にIHIや清水建設などの企業、室蘭工大などの大学と提携を結んでいます。今回調達した資金とともに政府のスタートアップ支援策を最大限活用しながら、宇宙輸送システム開発に必要な要素技術の研究開発に取り組んでいきます。

  • インドの農業向け地球観測衛星を開発するSatSureが、シリーズAラウンドでBaring Private Equity PartnersとPromus Venturesをリード投資家として1,500万ドルの資金調達を実施しました。彼らは自社の衛星で撮影した衛星画像を分析し、銀行にリスクと作物の監視データを提供します。今回の調達資金は、4基の高解像度およびマルチスペクトル衛星の開発に充てられます。

  • 月面着陸船を開発するIntuitive Machines($LUNR)が、最初の月面着陸ミッションに向けて資金を獲得するために、自社株を売却し、2,000万ドルの資金調達を実施しました。初の月面着陸船ミッションIM-1に向けて準備を進めており、早ければ今年の11月中旬にSpaceXで打ち上げられます。

  • フィンランドのソフトウェア・デファインドの小型衛星を開発するReOrbitは、シードラウンドでInventure VCがリード投資家となり、10xFounders 、Icebreaker.vc 、Expansion 、YesVCから740万ドルの資金調達を実施しました。政府、機関部門、商用衛星事業者の顧客から既に収益を上げており、海外展開を進めていきます。

  • SSA(宇宙状況認識)用技術開発を行うSCOUT Spaceが、宇宙空間セキュリティープラットフォームを開発するFree Spaceを買収しました。今回の買収により、SCOUT Spaceは国防総省や情報産業との関係性を強化できるようになりました。

  • イスラエルの通信機器メーカーSatixFyが、衛星ペイロードを開発する英国子会社をMDAに売却することを発表しました。

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🚀イベント情報

  • 2023年10月2日(月):ぎふ宇宙プロジェクト研究会 令和5年度第1回セミナー(ロケット・スペースプレーンの開発・製造)(詳細)

  • 2023年10月7-8日:第9回ロケット交流会(詳細)

  • 2023年10月23-24日:2023年度 大気球シンポジウム(詳細)

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🗞Orbitsからのお知らせ

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✏️編集後記

今週と先週はAmazonのProject Kuiperをはじめ、衛星通信サービスに関するニュースがいつもよりも多くなって気がします。

大手だとStarlinkやOneWebもある中、今後の国内外の動向について引き続き注目していこうと思います。

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